若い頃と同じような食生活では、病気のリスクが高まる。食材の選び方やバランスの良い食事にすることで、生活習慣病や老化を防ぐこともできます。
「食」によるアンチエイジング
鈴木たね子 国際学院埼玉短期大学客員教授
年齢とともに身体機能が徐々に落ちるのは、生理的なことですが、困るのは病気による老化です。これを防ぐには、毎日の食生活が大切です。
50歳からの健康を維持する食事のポイントを知っておきましょう。
| 50歳からはじめる暮らしのリ・デザイン note P16
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「食」には、3つの働きがあります。
1.命を支える栄養素の補給、2.病気の予防、3.味覚の満足です。
まず、命を支えるためには、5つの栄養素が不可欠です。炭水化物、脂質、たんぱく質、ビタミン、種々の食品に含まれているミネラル。これらの5大栄養素を不足しないように摂取すること、それが健康維持の基本です。
しかし、若い頃と同じような食生活を続けていては、メタボリックシンドロームになる危険性があります。
ではどんなことに注意すればよいのでしょう。
1. 食べ過ぎに注意
ごはん、パン、麺類などの炭水化物、清涼飲料水、クッキー、脂身の多い肉、バターの食べ過ぎは、脂質代謝異常、糖尿病や糖尿病予備軍の原因に。
2. 食塩のとりすぎに注意
食塩を減らし香辛料、酢を使い薄味に。
3. 女性は乳製品を多くとってカルシウムの貯蓄をしましょう
体力の節目となる50代になったなら、ヘルシー・エイジングと高齢期のQOLのために、食生活を見直しましょう。
認知症、脳梗塞、心筋梗塞の予防に、週3回は魚を食べる
食には栄養のほか、病気や老化を防ぐ働きがあることが、科学的に証明されています。
魚肉の油にはEPAとDHAという脂肪酸が含まれています。肉の脂肪、植物油、牛乳、卵、野菜にはありません。多くの疫学調査によって、EPAとDHAは心筋梗塞や脳梗塞、認知症の予防になることが証明されています。
EPAとDHAを合わせて1日1g摂取するのが理想。これらの脂肪酸はサンマ、イワシ、サバ、ブリなど赤身の魚、マグロのトロ、サケ等に多く含まれています。
1回にこれらの魚の切り身一切れ(約80g)、またサンマ、イワシは大きさによりますが1〜2尾を食べるとよいでしょう。焼いたり煮たり、缶詰にしても効果は失われません。
食事は楽しく、おいしくが大切
おいしくない料理を食べたり、不機嫌な状態で食事をすると栄養バランスのよい料理を食べても、免疫力がいちじるしく低下することがわかっています。
おいしい料理を、落ち着いた清潔なよい環境のダイニングで、楽しく食べることを心がけましょう。
これだけは
知っておきたいマメ知識
EPA・DHA
イワシなどの青魚に含まれる脂肪酸。
血液をサラサラにする働きで動脈硬化の予防や中性脂肪の低下、記憶力の向上に効果がある。
機能性表示食品
事業者の責任で、科学的根拠を基に食品の機能性をパッケージに表示することができる。
商品は消費者庁に届け出が必要。
炭水化物ダイエット
炭水化物や糖質を制限するダイエット法。
3大栄養素の炭水化物をまったくとらないケースもあり、危険だと指摘されている。
関連情報:良質なタンパク質が摂れる「かまぼこ」
「かまぼこ」は、手軽で簡単に食卓の料理として出せるタンパク質です。かまぼこの成分や栄養素については以下のページに詳しく載っています。 by babycom